似た目をしたきみと

ぐちゃぐちゃなメモの束

テーブルの上

無造作に置かれる

散らかった部屋。

睡眠薬の束に乱れたベッド


書き連なった誰かの電話番号。

彼女だけじゃない。山のような


「電話して」


メモから彼女たちの声が

私にまで聞こえてきそう。

聞こえないのはきっと

”きみだけ”だね。


丸めてゴミ箱に投げた姿

それが昨夜のきみの姿だろう



どうしてわたしは

きみの部屋へ

行ってしまったのだろう。

同じ匂いがしたから?


虚しくて寂しくて

どうでも良くて消えたくて?


心にポッカリ穴が空いたような

無意味な毎日を

命を削るようにして

ただ生きてるんだ


悲しいなんて

寂しいなんて

言葉はでないほど

ただ今は

「彼が(彼女が)側にいてくれたらいい」


人混みで

似た目をした彼と目があった


付いていくなら

そうなることは

大人だもの

暗黙にしてもう既に

全てを受け入れている


「孤独を埋めるように」って

これなんだな


死のうと決めた時から

わたしは誰も愛せないのだし

淫らな夜があったとしても

誰がそれを責めるというの?



ぐちゃぐちゃなメモ。

彼女たちの電話番号の束。

歪んだ睡眠薬

哀しい目をしたきみ。


似た目をして。

心から口づけをした。


「きみはこんなに綺麗なのに!」


(なのに?)


「どうして哀しそうな目をしてるんだ」


それはきみだって

(わたしの台詞よ)


出逢って数時間。

慰め合うようにキスしたね。

慰め合うように抱き合ったね。


男と女なんて。

互いの欠陥を埋めるようにして

神様が創ったのだし。

抱き合うフォルムが

完璧なカタチを成すことも

私たちは大人だもの

もうわかってるよね


「こんな満たされた日々は久しぶり」


朝目覚めてきみは言った

わたしも笑うことができたんだよ



ひと月

ひと月そうして愛し合った

このまま一緒にいたかった

いたかったんだよ


荷物をまとめて去った

わたしが取り憑かれていたのは

”死の女神”


きみは今

どこで何をしてるんだろう?



似た目をしたきみへ。


貴方の、

きみの幸せを今も願う